ゆっくり登山紀行 - 播磨富士 初登山 - May,2015 電気電子部門 福井英雄 屋久島に行きたいと妻が言った。昨年の 夏まで定年を過ぎても看護師を勤めてい たが、楽しみにしていたアイルランドの旅 行はイスラム国の事件をきっかけにやめ てしまったのである。一昨年にも屋久島の 計画をしていたが、娘が風邪で中止になっ てしまった。その話題が広まり、姪の耳に 入った。彼女は日本の主な山を歩いている ベテランである。 「おばちゃん!屋久島に行くのなら足腰 を鍛えておかないとダメですよ」という。それがきっかけで一度近くの山に登ってみるこ とになった。 明石の登山用品店で、まず登山靴とリュックと中厚の靴下をそろえる。店員さんに足の サイズを測ってもらい足にぴったりの靴を選んでもらった。この靴については後で大発見 をするのだが。 4月 24 日雨の多かった今年の春も前日から晴れて絶好の天気である。私と妻を姪が迎え に来てくれた。車で 30 分ほど行くと高砂市の北部にある鹿嶋神社の駐車場についた。正月 や行事のある日を除いては広々とした駐車場である。 ここが播磨富士と呼ばれる標高 304m の「高御位山(たかみくらやま)」の登山口の一つ である。そのほかに登山口は 4 か所ほどあるようだ。 登山靴に履き替えていざ出発。木々の林を抜けると岩場の稜線が表れる。ここは馬の背 コースと呼ばれている。まさに馬の背のように岩肌が丸く出ている。 しばらく進むと関西電力の送電鉄塔の真下に来る。このように近くで見るのは初めてで ある。2 回線並架で 2 導体である。がいしが 22 個ほ ど連なっておりおそらく超高圧の 275kV 送電線であ ろう。ACSR(鋼心アルミより線)、アークホーン、 ダンパー、架空地線と職業柄どうしてもこのような ことを思い浮かべる。 送電線といえば、国内の系統幹線は超超高圧の 500kV が中心で、東電の一部で 1000kV 送電可能な 幹線があるという。近い将来には発電と送電が分離 されることになっている。 休み休み登り、平均時間の倍かかり山頂に着く。 山頂の峰の小道を行くと赤い山つつじの花が咲いておりその周りを黄色の美しい蝶が飛ん でいた。頂に立つと下から吹き上げてくる風が新緑の瑞々しさを含み気持ちがいい。この 山の南側は 2011 年 1 月 24 日に大きな山火事があったことを思い出した。黒い炭の焼け跡 が見える。大きな木立は無く、見晴らしは抜群である。しかし、暑い日差しの時には木陰 が無いため気を付けなければならない。加古川、高砂、姫路の工場や発電所が影絵のよう に霞んで見え、真下の学校からは構内放送が聞こえる。 昼食を取り、下山。少し下った所にまた関電の施設がある。5m角の看板のようなもの である。これはマイクロウェーブ反射板である。重要な通信施設であるのか柵で囲ってあ った。発電所と需要地の変化するデータをリアルタイムに収集し制御するための通信施設 であろう。最近は光ケーブルに代わりつつあるが信頼性においてまだ優れているのであろ うか。しかし光ネットワーク回線になれば信頼性も高くなる。などいろいろ想像する。 下りも岩肌に沿って別のルートを取る。新しい登山靴だと少々の斜面の岩肌でも滑らな いことに気付く。また次の山に挑戦したい気分になる。 久しぶりの山歩きで、快い疲れを体験した一日であった。 頂上から高砂市、瀬戸内海方面を展望する。