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神戸の先端技術

- スーパーコンピュータ「京」-   (essei201701)

1.はじめに

ポートアイランドの南側に「京」コンピュータとして知られる(独)理化学研究所 計算科学研究機構(AICS)があります。

(独)理化学研究所 計算科学研究機構

JR三ノ宮駅からポートライナー神戸空港行きに乗り京コンピュータ前駅で降りる。毎年秋に一般の見学会が催されるのだが、平時は5人以上の団体申し込みをする必要があります。ただし、1階ロビーの展示場はいつでも見学ができる。玄関前の広場にはソロバン玉が17個重ねたモニュメントがあり、これは「京」の桁数(10の16乗)を表しているとのこと。(写真1)展示場にはシステムラックの実物見本が展示されている。(写真2)

2.コンピュータのスピードを競う”TOP500″

 スパコン演算性能をはかるために、毎年6月と11月にベンチマークプログラムにより上位500位までのランキング「TOP500]が発表されます。「京」コンピュータが「世界最高速コンピュータ」に認定されたのは2011年6月と11月のことでした。その後はアメリカ、中国がトップを維持しています。

 スーパーコンピュータとは簡単に言うと、多くのPCを並列に連結して処理することでスピードを上げています。

1台のPCで計算するのに10時間かかるところを10台のPCで計算すると1.5時間で計算できるというものです。そのスピードが10分の一にならないわけは、まず1台のPCが仕事を10等分し、ネットワークでそれぞれのPCに送り、その結果を集計しまとめる作業が生じるからです。

3.スパコン「京」のシステム

 「京」にはシステムラックが864本接続されており、1つのコンピュータシステムとして構成されている。このシステムラックにはシステムボードが上下に12枚ずつ、
計24枚搭載されており、システムボード1枚にはCPUが4個搭載されている。中央部に電源部があり、9個の電源ユニットで構成されている。
1ユニットが故障しても他のユニットで賄えるよう冗長性が確保されている。冷却装置として、それぞれのボードに冷却水を供給するための水冷配管が接続されている。
また、CPU同士を接続する方式として「6次元メッシュ/トーラス結合」が開発され通信時間を短縮している。

4.スパコンの重要性

 最先端の研究においては、理論を導き出しそれに基づいて実験を行うことが基本と言われている。現代ではさらにコンピュータシミュレーションができることが重要になっている。模擬実験ともいうべきシミュレーションはあらゆる条件を設定でき、実験ではできない条件までも行うことが出来る。例えば地球規模の気象現象や原子・分子レベルのモデル実験で速度を目に見える速さに調節することが出来る。シミュレーションによりノーベル賞に結び付いた例も多くある。
 またスパコンは大量のデータを分析処理できることです。センサー技術の向上、ロボット化によりデータが指数関数的に増大している状況にあり、
シミュレーションと膨大な量のデータを短時間で処理することで未来の予測が可能になりそうです。

5.スパコン「京」の未来

 AICS主催の「スパコンを知る集い in 岡山」に参加した。想像していたよりもすごいことがスパコン「京」の中で起きようとしていると感じた。
 気象情報で雲の動きを気象衛星画像で見る。それがシミュレーションによってほぼ同じ雲の状態を発生させ、動きまで予想できるまでになっている。
 また、数値天気予報モデルに30秒ごとの観測データを取り込んで予測値を修正し予測精度を上げ、膨大なビッグデータを30秒後に更新していくことによりゲリラ豪雨予測が可能になるという。
一方、ミクロに至っては、心臓を構成する筋のたんぱく質の運動から心臓全体の動きをスパコンの中に再現し、あらゆる部分を詳細に点検できることが出来るようになる。
 スパコンによるシミュレーションは今後あらゆる分野に活用され、見えなかったものが見えるようになり、予想できなかったものが予想できるようになり、よりよい社会へ貢献していくものと期待する。
 スパコン「京」により科学技術の飛躍的な発展を目指して以下の分野で戦略的・重点的に研究がされている。

①予測する生命科学・医療および創薬基盤

②新物質・エネルギーの創成

③防災・減災に資する地球変動予測

④次世代モノづくり

⑤物質と宇宙の起源と構造

 科学技術の進歩は速く10年たてばもう古くなる。ポスト「京」を目指してもう「ポスト「京」とフラッグシップ2020プロジェクト」が始まっている。

(文責 福井英雄)(ふくい ひでお、 電気電子、hd.fukui@gmail.com)

(参考資料)

1)スパコンを知る/東京大学出版会

2)絵で分かるスーパーコンピュータ/講談社

3)計算科学の世界 No13 ゲリラ豪雨を予測する/AICS

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