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ルワンダでの能力開発プロジェクト

技術士(電気電子部門) 福井 英雄  (essei201301)

1.千の丘の国ルワンダ

 ルワンダはほぼ赤道直下でありながら気候が温暖で非常に住みやすいところである。それは標高が1000mから4500mで首都キガリでは1500mの丘の上にあり、年に雨期と乾期が2回繰り返すからである。国土のほとんどが丘陵地の内陸国で、周囲に湖と火山があり、南西部の熱帯雨林と東部の熱帯サバンナの多様な気候風土で成り立っている。四国のほぼ1.5倍の面積である。産業はコーヒー、紅茶、地下資源で、 2008年のGDPは44億ドル、人口は999万人。言語は、ルワンダ語、フランス語、英語である。

2. 本プロジェクトに関する現状と課題

最近の現地新聞によると、地方の電化率は、2008年4.5%であったが2012年には16%になった。国は2017年までに70%の目標で、世帯電化率を大幅に上げようとしている。都市部の配電網は設備劣化や老朽化が進んでおり、雨期には停電回数が多発している。近年、都市化が進み高層ビルが建設され電力需要が急増し、電力の安定供給が困難な状況になりつつある。現在の国内の発電能力は水力、火力が主で、輸入を含めて合計101MWである。電力公社であるEWSAは、技術能力を向上するための人材育成体制を整備することを課題としている。しかし、訓練センターは過去に支援で建設されたままになっており、全く機能を発揮していない状態である。

3.プロジェクトの目的

このプロジェクトには、電力公社の技術能力の向上を図ることを目的として、下記の項目が含まれている。

  • ① EWSAの体系的な人材育成体制の構築
  • ② 配電網データベースの整備、活用のための技術能力の向上
  • ③ 技術者(配電、送電、発電)の維持管理能力の向上

期間は2011年から3年間である。(スケジュール表参照)

4.業務における課題と解決策

 第一項目は、EWSAの組織に教育訓練部門を明確に組み込み強化することである。トップの教育方針を確立させ教育訓練の組織を強化させなければならない。本来、教育方針がなくては進まないプロジェクトであるが、EWSA自体の組織も流動的で決まらないため、この方針が中間評価の時点(2012年8月)でも定まっていない状態である。

 第二項目は、GISシステムを構築して配電網のデータを管理運営していくものである。配電網の記録である図面類がほとんど無く、都市部の埋設配電線は施工した者だけが知っている状態である。GISシステムの構築と埋設及び架空配電網の調査そしてデータ入力が主な業務となる。

 第三項目は、我々が担当した分野である。EWSAの技術者を訓練する体制を構築することであり、基本的には下記のスケジュールで行なった。

  • 現場の実態を調査し、問題点を分析する。
  • 必要な訓練のカリキュラムを策定し、必要な人数のコアトレーナーを養成する。
  • コアトレーナーによる技術者研修のための教材(テキスト、マニュアル)を作成する。
  • コアトレーナーによる技術者研修会を実施させ、モニタリングを行う。
  • 実施された研修の評価を行い研修方法の改良、教材の改訂を行う。
  • 次回の研修会の計画をする。

最初に感じたことは、カウンターパートが動かないことであった。書類をチェックしコメントを言うのは得意だが、自ら書類の作成はしない。決まったことを実行するのは簡単であるが、新しいことを計画し構築することは不得手のようである。また、コアトレーナー養成のためのワークショップでは、決めた時間に集まらない。30分から1時間過ぎてから来る状態である。研修会には時間を守ることから徹底した。研修用資材の調達では、受け取り時に注意して確認しないと仕様通りのものと異なることが多い。約束の返事はいいが、守れない。言い訳が上手である。彼らが育った文化の違いは、短期間では理解することは困難である。現地では、日本の常識が正しいかどうかも考慮する必要がある。トレーナーが講師になってレクチャーすると皆、立派に説明できるのには驚いた。1グループ約20名の研修生が全国から集まり、2週間の研修にも喜んで熱心に参加している姿は、機会があれば向上する意欲があるものだと感じた。プロジェクトであるため、その効果の確認がある。そのために研修前に現地(ブランチ)を訪問し現状評価を行ったが、配電設備の記録データがほとんど残されておらず、設備の維持管理の考え方が全く無かった。そこで、研修後の効果を確認するために、各ブランチにおいて配電設備の記録が残されるようになることを課題として研修内容を策定した。そのためにJICAから基本的な測定器類の供与がなされることになった。

5.まとめ

 当初にこのプロジェクトに臨んだときは、技術専門書を担いで技術指導に行くような気持ちであったが、現地の状況が分かるにつれて、まだ基本的な技術が整備されていなく、まずそれを優先にすべきだと判断し、技能者の訓練から始めることにした。 技術協力プロジェクトにおいては、専門家は“何もしない”ことであると聞いた。相手が自立して、考えながら能力向上していくように舵を取るところに専門家の使命があるとの意味であろう。現状を見てどうしなければならないかを考える能力が必要である。どうしてもコミュニケーション能力の未熟さのために自分でやってしまうことが多かったことを反省する。

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